「除くクレーム」と被利用発明
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特許実務スキル(応用編)は、具体的な実務スキルを紹介する記事である。法律論を語るというよりは、実際の実務を想定し、読めばすぐにでも、具体的に取り入れることのできるスキル(方法)であって、単純には思い浮かばないような応用的なスキルを紹介していく。
なお、ここで紹介する実務スキルは、筆者である「弁理士X」の考えに基づくものであり、絶対の効果を保証するものでないことは予めご了承頂きたい。ここで紹介した実務スキルは、自己責任の下で活用いただくことが前提である。
今回のテーマは、「除くクレーム」と被利用発明である。
被利用発明というのは、利用される側の特許発明のことであり、特許法72条(利用発明)の条文でいうところの「その特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明」である。今回は、この被利用発明を、「除くクレーム」を活用して作ることについて話したいと思う。
想定しているシーンは、例えば、「他社の“良い”特許権(特許発明)を発見し、この他社特許権に対抗するために、他社特許よりも先願の自社の特許出願を用いて、有効な権利を取得することができないか」といった状況である。
他社特許権は、自社にとってはいわば「目の上のたんこぶ」となり、自社ビジネスの障害となり得るかもしれない。
そのような他社の特許を見つけたときに、まず考えるのは「特許の無効化」であろう。しかしながら、特許の無効資料は、「明らかに新規性がない」と言えるような文献でない限りはリスクがある。また、請求項が訂正されれば、用意していた無効資料では特許を無効にできないことも十分にある。
このとき、先願となる自社の特許出願が係属中であり、そこには他社特許に近い発明が記載されていれば、補正や分割出願によって他社特許と同一あるいは上位の特許権を取得することも考えられるだろう。
同一の特許権が取得できれば、それがそのまま39条の無効理由を構成する。また、上位の特許権が取得できれば、他社特許は「利用発明」となる。
このように、他社特許権と同一の、あるいは、利用される関係にある、先願特許を取得することで、自社を有利な立場に立たせることもでき得るのである。
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