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判例特許

令和4年(行ケ)第10007号 拒絶審決の取消請求事件(ダイキン vs 特許庁)

進歩性:「引用発明の認定」の基本的な考え方(手法)を述べた事例
令和5年1月18日(2023/1/18)判決言渡 判決文リンク
#特許 #進歩性

1.実務への活かし

・~権利化まで #進歩性 #意見書
 進歩性の判断において「引用発明の認定」が適切になされているかの検討は重要である。また、引用発明の認定が適切といえるか否かについては、下記の判断要素を考慮して検討するとよい。

引用発明の認定が適切といえるかの判断要素
①引用文献に記載された技術内容を、本願発明との対比に必要がないにもかかわらず抽象化したり、一般化したり、上位概念化したりしていないか。(不足した認定となっていないか
②本願発明に示された技術的思想と対比する上で必要な限度を超えて、引用文献に記載された具体的な構成を認定していないか。(過度な認定となっていないか

∵本件で知財高裁は、引用発明の認定の手法について「引用発明の認定は、これを本願発明と対比させて、本願発明と引用発明との相違点に係る技術的構成を確定させることを目的としてされるものであるから、本願発明との対比に必要な技術的構成について過不足なく行われなければなら」ないと述べた。

2.概要

 本件は、ダイキン工業株式会社及びダイキン アプライド アメリカ図 インコーポレィティッド(以下、「ダイキン」という。)が、拒絶審決の取消しを求めた審決取消訴訟である。

 ダイキンは、発明の名称を「熱搬送システム」とする、空調システムに関する発明の特許出願(特願2019-525638号、以下、「本願」という。)を行った。
 本願の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、冷媒回路と媒体回路を備えた熱搬送システムであり、その特徴は、冷媒回路における冷媒として「HFC-32からなる流体」が封入され、媒体回路における熱搬送媒体として「二酸化炭素」が封入されていることにある。

 特許庁は、引用文献1に記載される引用発明との相違点として、

相違点1
「冷媒として流体が封入された冷媒回路について、本願発明は、「HFC-32からなる流体が封入され」ているのに対して、引用発明は、「HC系冷媒であるプロパン」が流体として用いられている点。」
相違点2
「熱搬送媒体と室内空気とを熱交換させる室内空気熱交換器について、本願発明は、「複数の室内空気熱交換器」としているのに対して、引用発明は、室内熱交換器270が複数設けられているとは特定されていない点。」

の二点を挙げた上で、その他の引用文献に基づいて認定される周知技術(周知事項1及び2)に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるとして、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないと判断した。

 これに対してダイキンは、①本願発明の要旨認定と②引用発明の認定の誤りから、相違点の認定及び進歩性の判断を争った。②について、ダイキンは、本願発明における「前記熱搬送媒体を昇圧する媒体昇圧機」との対比において、審決が、引用発明を「圧縮機200」と認定したことには誤りがあり、「2次側冷凍サイクルに設けられ、2つのシリンダを有するとともに、これら2つのシリンダのうち1つは圧縮運転と非圧縮運転とを切替可能に構成され、インバータ駆動される2シリンダ形回転式圧縮機」と認定すべきであると主張した。

 知財高裁は、ダイキンの主張を容れず、特許庁の審決に誤りはないと判断した。以下に、引用発明の認定に関するダイキンの主張及び知財高裁の判断を抜粋する。

ダイキンの主張(判決から抜粋。太字は付記)
引用発明の認定は、不用意に上位概念化してはならず、刊行物の記載を基礎として、客観的、具体的にされなければならない。本件審決は、引用発明が、圧縮運転と非圧縮運転とを切替可能に構成した、インバータ駆動される2シリンダ形回転式圧縮機を必須の構成要素とする発明であることを捨象し、抽象化、上位概念化して、圧縮機全般を前提としているかのように認定した点で、引用発明の認定に誤りがある。」

知財高裁の判断(判決から抜粋。下線・太字・色字は付記)
「(ア) 引用発明の認定の手法
 引用発明の技術内容は、引用文献の記載を基礎として、客観的かつ具体的に認定・確定されなければならず、引用文献に記載された技術内容を、本願発明との対比に必要がないにもかかわらず抽象化したり、一般化したり、上位概念化したりすることは、恣意的な判断を容れるおそれが生じるため、原則として許されない。他方、引用発明の認定は、これを本願発明と対比させて、本願発明と引用発明との相違点に係る技術的構成を確定させることを目的としてされるものであるから、本願発明との対比に必要な技術的構成について過不足なく行われなければならず、換言すれば、引用発明の認定は、本願発明との対比及び判断を誤りなくすることができるように行うことで足りる
 (イ) 2シリンダ形回転式圧縮機を備える点について
a 本願の特許請求の範囲の請求項1において、「媒体昇圧機」は、「前記熱搬送媒体を昇圧する媒体昇圧機」(構成要件E)と特定されている。これによれば、「媒体昇圧機」は、その具体的な構造や駆動手段等は特定されていないから、熱搬送媒体を昇圧することができる様々な構成を包含するものである。…
 他方、前記イのとおり、引用文献1には、第1の実施の形態において、第1圧縮機100及び第2圧縮機200は、インバータ130で駆動される2シリンダ形回転式圧縮機であり、必要時にシリンダ108Bに高圧冷媒を導入し、ベーン115b前後の圧力差を無くし第2シリンダ108Bのみ非圧縮運転ができるものとして記載されている。
 上記のとおり、本願発明における「媒体昇圧機」は、具体的な構造や駆動手段等は特定されておらず、熱搬送媒体を昇圧することができる様々な構成を包含するものであることに照らすと、このような本願発明と引用発明との相違点に係る技術的構成を確定させるためには、引用発明が第2圧縮機200を備えていることを特定すれば過不足がないということができ、第2圧縮機200について、第1の実施の形態に係る具体的な構造等を認定することまでを要するものではないというべきである。…
 原告らは、本件審決は、引用発明が、圧縮運転と非圧縮運転とを切替可能に構成した、インバータ駆動される2シリンダ形回転式圧縮機を必須の構成要素とする発明であることを捨象し、抽象化、上位概念化して、圧縮機全般を前提としているかのように引用発明を認定した点で、引用発明の認定に誤りがあると主張する(前記第3の1⑵イ(ア))。確かに、引用発明を、抽象化、上位概念化して認定することにより、引用発明に記載されていない技術的思想を認定することは許されない。しかし、引用発明は、常に刊行物に書かれたとおりの具体的な構成として認定しなければならないとする理由はなく本願発明との対比及び判断を誤りなくすることができるように、本願発明に示された技術的思想と対比する上で必要な限度で、刊行物の記載に基づいて、そこに示された技術的思想を表す構成を認定することは許されるというべきである。

3.本件のより詳細な説明、及び、判決内容の考察

3-1.判決についての感想

全体的な結果について:納得度100%

 本件は、全体として、特に議論するようなところはなく、結論は妥当であろう。

 本件は、引用発明の認定についての基本的な考えを示している点に価値がある。

 訴訟では、拒絶審決の取消や特許無効の争いの中で頻繁に発明の進歩性が争われるが、このとき「引用発明の認定」が争点の中心になることも多い。また、引用発明の認定に誤りがあったと判断されると、前審の判断が覆ることも多い(判例を見ていて個人的にそう感じる)。引用発明の認定に誤りがあると、およそ必然的に、本願発明と引用発明との相違点にも誤りが生じることになり、その後の容易想到性の判断に大きな影響を与えるからだ。

 一方で、審査対応(拒絶理由対応)において、審査官の認定した引用発明に誤りがないかどうかを厳しく争っているような意見書はあまり見かけない。

 審査基準における進歩性の判断フローには、引用発明の認定の他にも、本願発明の認定や組み合わせの論理付けなど、いくつかの論点があるが、およそ多くの意見書が、本願発明の認定や引用発明の認定を飛ばし、論理付けの議論(課題や作用効果、阻害要因など)ばかりをしているように見受けられる。

 裁判でこれだけ争われ、また、それなりの確率で前審の判断が覆っている実状からすれば、審査実務で「引用発明の認定」を争えるようになることで、無駄に補正をせずに良い権利が取得できる機会が増えるだろう。

 その意味で「引用発明の認定」の基本的な考えを身に付けておくことは、権利化実務における重要なスキルといえる。既に知っている方にとっては退屈かもしれないが、本件では、以下に「引用発明の認定」の基本的な考え方を整理しておく。

3-2.「引用発明の認定」の基本的な考え方について

「引用発明の認定」における問題の所在

 引用発明の認定に誤りがあるケースとしてわかりやすいのは、引用文献に記載されている技術を間違って認識し、誤認に基づいて引用発明が認定された場合である。この場合は、その技術的な誤認を指摘し、引用文献に開示されている技術内容を適切に説明すればよい。

 しかし、今回議論とするのは、このようなケースではない。端的に言えば、本願発明との対比で、引用発明をどのように認定すべきかという問題である。
 下図の例を参考にする。

 本願発明は、構成A乃至Dを備え、さらに構成DはD1(Dの下位概念)であるとする。これに対し、引用文献には、構成A乃至Dが開示され、さらに構成DはD2(Dの下位概念でありD1と並列的な関係にあるがD1とは異なる。)であることが開示されているとする。

 このとき、引用発明を「構成A乃至Dを備える発明」と認定すべきか「構成A乃至Dを備え、DはD2である発明」と認定すべきか、というのが、今回の「引用発明の認定」の問題である。

 この問題は特に、引用文献2に構成D1が開示されていて、かつ、構成D2から構成D1への置換に技術的な阻害要因があった場合に顕著となる。

 引用発明を「構成A乃至Dを備える発明」と認定すれば、論理付けは、引用発明において構成Dの下位概念である構成D2を採用できるか否かということになり、下位概念である以上、容易に想到できると判断しやすくなる。

 一方で、引用発明を「構成A乃至Dを備え、DはD2である発明」と認定すれば、引用発明において採用されている構成D1を引用文献2に開示される構成D2に置き換えることができるか否かということになり、技術的な阻害要因がある以上、容易に想到できると判断しづらくなる。

 このように、引用発明をどのように認定するかによって結論に違いが出るのである。

「引用発明の認定」の基本的な考え方

 上記はわかりやすい例であるが、この例でいえば、適切な「引用発明の認定」は後者である。

 この点について、本件で知財高裁は、「引用発明の認定は、これを本願発明と対比させて、本願発明と引用発明との相違点に係る技術的構成を確定させることを目的としてされるものであるから、本願発明との対比に必要な技術的構成について過不足なく行われなければなら」ないと述べている。

 また、このように引用発明を認定するために、「引用文献に記載された技術内容を、本願発明との対比に必要がないにもかかわらず抽象化したり、一般化したり、上位概念化したりすることは、恣意的な判断を容れるおそれが生じるため、原則として許されない。」と述べている。

 このように、本願発明が「構成DがD1である」のに対し、引用文献が、D1と並列的な関係にあるD2を採用していることまで開示しているのであれば、引用発明は、構成DがD2であることまで認定すべきであり、前者のように拒絶理由が構成しやすい方向に引用発明を認定することは、上記でいうところの「恣意的な判断」とされるのである。

 特許の審査をする側には、不適切な「引用発明の認定」を行ってしまう誘因がある。

 一つには、特許法第49条が、拒絶理由を探させる審査体系を採っていることである。特許の審査をする側は、特許をする理由があるかではなく、拒絶の理由があるかという視点で審査をするため、積極的に拒絶理由を構成できるかを検討することになる。
 また、審査官は、本願発明を把握した状態で引用文献を見るため、どうしても後知恵の要素を払拭できないことが多い。引用文献を見るときに、本願発明と共通する技術を探すため、共通している部分まで(上記の例でいえば、構成Dまで)で、引用発明の認定を終えてしまうことがある。
 加えて、特許権が対世的な権利であることから、「安易に特許査定はできない」という審査官の心情が働き、そうすると、拒絶理由を構成する方向に結論が向かいやすくなる。

 実務家としては、このような要因が存在するという認識の下、自ら「引用発明の認定」を行い、本当に審査官の認定する引用発明が適切かを判断しなければならない。
 拒絶理由通知には、基本的に、引用文献に何が開示されているかは説明されている。しかし、拒絶理由通知で挙げられている引用文献の開示部分(明細書中の特定の段落の記載)が、本願発明との対比において「過不足のない開示」であるか否かは、拒絶理由通知だけを見ても判断できない事柄なのである

 上記の例でいうと。審査官が前者の認定しかしていなかった場合、拒絶理由通知には「引用文献には構成A乃至Dについて記載されている」と述べられるだけなので、引用文献にD2が開示されていることは引用文献を読まないとわからない。また、構成A乃至Dが開示されているという認定自体に誤りはないので、一見すると、適切な判断をしているように読めてしまう。

 拒絶理由通知を受けると、そこに挙げられている該当段落だけ、あるいは、これに周辺の記載や図面を加えた部分だけを確認し、拒絶理由の妥当性を判断している人もいるだろう。
 しかしながら、「引用発明の認定」の適否を判断するには、引用文献を読まなければならないのである。

 一つ、具体的な参考事例を紹介しておく。平成29年(行ケ)第10062号は、異議申立ての取消決定に対する取消訴訟の事例である。
 この事例では、請求項の発明特定事項
「前記PN接合ダイオードのアノードを前記ショットキーバリアダイオードのアノードに接続する第1のワイヤ」に関し、
 特許庁は、引用文献からはアノード(電極)かカソード(電極)かが不明であることを理由に、
「SiCMOSFETの一の電極とSiCショットキーダイオードの一方の電極と第2の配線パターンとを繋ぐワイヤーボンド」
が開示されていると認定したが、ローム株式会社は特許庁のこの認定の誤りを争った。知財高裁は、カソード電極になると解することができるため、
「SiCMOSFETのソース電極とSiCショットキーダイオードのカソード電極と第2の配線パターンとを繋ぐワイヤーボンド」
と認定すべきとし、特許庁の認定に誤りがあったと判断した。

本件の事例

 本件の事例は、上述のような特許庁側の「恣意的な判断」が問題となった事例ではない。実務家としては、審査官が不適切な認定を行いかねないというリスクを取るべきであるが、一方で、出願人側も、特許査定に向かい易いような「恣意的な判断」に陥っていないかを注意しなければならない。

 知財高裁も述べているように、引用発明の認定は、本願発明との対比において「過不足なく」行われなければならず、上記の例のように「不足」していてもダメだが、「過度」であってもダメなのである。つまり、「本願発明」との対比が十分に行えているにもかかわらず、さらに限定的に引用発明を認定することも、不適切な引用発明の認定になるといえる。

 本件で知財高裁は、「本願発明との対比に必要な技術的構成について過不足なく行われなければならず、換言すれば、引用発明の認定は、本願発明との対比及び判断を誤りなくすることができるように行うことで足りる。」と述べ、以下の本願発明に対比して引用発明を認定している。(なお、争点となっている構成は太字の部分である。)

請求項1(判決より抜粋。太字は付記)
 冷媒を昇圧する冷媒昇圧機と、
 前記冷媒と室外空気とを熱交換させる室外空気熱交換器と、
 前記冷媒と熱搬送媒体とを熱交換させる媒体熱交換器と、
 前記室外空気熱交換器を前記冷媒の放熱器として機能させ、かつ、前記媒体熱交換器を前記冷媒の蒸発器として機能させる冷媒放熱状態と、前記室外空気熱交換器を前記冷媒の蒸発器として機能させ、かつ、前記媒体熱交換器を前記冷媒の放熱器として機能させる冷媒蒸発状態と、を切り換える冷媒流路切換機と、
 を有しており、前記冷媒としてHFC-32からなる流体が封入された冷媒回路と、
 前記熱搬送媒体を昇圧する媒体昇圧機と
 前記媒体熱交換器と、
 前記媒体熱交換器を前記熱搬送媒体の放熱器として機能させる第1媒体放熱状態と、前記媒体熱交換器を前記熱搬送媒体の蒸発器として機能させる第1媒体蒸発状態と、を切り換える第1媒体流路切換機と、
 前記熱搬送媒体と室内空気とを熱交換させる複数の室内空気熱交換器と、
 を有しており、前記熱搬送媒体として二酸化炭素が封入された媒体回路と、
 を備えた、熱搬送システム。

 ダイキンは、本願発明の「媒体昇圧機」に対比される引用発明を
「2次側冷凍サイクルに設けられ、2つのシリンダを有するとともに、これら2つのシリンダのうち1つは圧縮運転と非圧縮運転とを切替可能に構成され、インバータ駆動される2シリンダ形回転式圧縮機」
と認定すべきと主張したが、知財高裁は
「本願発明における「媒体昇圧機」は、具体的な構造や駆動手段等は特定されておらず、熱搬送媒体を昇圧することができる様々な構成を包含するものであることに照らすと、このような本願発明と引用発明との相違点に係る技術的構成を確定させるためには、引用発明が第2圧縮機200を備えていることを特定すれば過不足がないということができ」ると判断した。

 確かに、「熱搬送媒体を昇圧する」という修飾は、媒体昇圧機の基本的な機能を言葉にしたに過ぎないと言えるだろう。たとえば、ある空調システムが本願発明を充足するかを争ったとして、「熱搬送媒体を昇圧する媒体昇圧機」を充足するか否かが争点になることはなさそうなくらい、特段、技術的な限定はされていない。このような本願発明に対して、「2シリンダ形」であり、かつ、「回転式」である「圧縮機」にまで引用発明を限定して認定する必要はなく、これが過度な認定に当たることは明らかであろう。

3-3.実務での対応

 意見書や審判請求書などで引用発明の認定について主張する場合、まず、特許庁側の認定が、過不足のうちのどちらの認定になっているのかを考え、自身の立つ側がどちらにあるのかを把握しておかなければならない。

 その上で、特許庁側の「不足した認定」を指摘したいときは、主張の冒頭に

「引用発明の技術内容は、引用文献の記載を基礎として、客観的かつ具体的に認定・確定されなければならず、引用文献に記載された技術内容を、本願発明との対比に必要がないにもかかわらず抽象化したり、一般化したり、上位概念化したりすることは、恣意的な判断を容れるおそれが生じるため、原則として許されない。(令和4年(行ケ)第10007号参照)」

と述べておいてから、特許庁側の引用発明の認定が「不足した認定」であることを具体的に説明していくとよいだろう。

 特許庁側の「過度な認定」を指摘したいときは、主張の冒頭に

「引用発明の認定は、これを本願発明と対比させて、本願発明と引用発明との相違点に係る技術的構成を確定させることを目的としてされるものであり、引用発明の認定は、本願発明との対比及び判断を誤りなくすることができるように行うことで足りる。つまり、引用発明は、常に引用文献に書かれたとおりの具体的な構成として認定しなければならないとする理由はなく、本願発明に示された技術的思想と対比する上で必要な限度で、引用文献に示された技術的思想を表す構成を認定すればよい。(令和4年(行ケ)第10007号参照)」

と述べておいてから、特許庁側の引用発明の認定が「過度な認定」であることを具体的に説明していくとよいだろう。

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