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令和6年(ネ)第10041号 損害賠償請求棄却判決の控訴事件(株式会社モビリティ等 vs 株式会社ジィ・シィ企画)

サブコンビネーション発明の認定(審査基準の例と異なる結論が出された事例)
2025/5/8判決言渡 判決文リンク
#特許 #サブコンビネーション発明

1.実務への活かし(雑感まででいえること)

・出願/権利化 #サブコンビネーション発明

 サブコンビネーション発明は、「他のサブコンビネーション」に関する事項が請求項に係るサブコンビネーションの発明の構造、機能等を特定している場合でなければ作成する意味がない。
 また、「「他のサブコンビネーション」に関する事項が請求項に係るサブコンビネーションの発明の構造、機能等を特定しているか否か」の判断は、審査基準に挙げられている例を鵜呑みにせず(安易に信じず)、慎重に判断しなければならない

2.概要

 本件は、特許第4789092号(以下、「本件特許」という。)の特許権者である株式会社モビリティ及び専用実施権者であるモビリティ・エックス株式会社(控訴人側。以下、これらの権利者を「特モビリティ」という。)が、株式会社ジィ・シィ企画(被控訴人側。以下、「GC社」という。)に対し、特許権侵害による不法行為に基づき損害倍書を求めた事案の控訴審である。
 原審では、特モビリティの請求は棄却され、本件控訴審においても知財高裁は、本件特許が進歩性を欠くものであり、無効とされるべきものであるとして、特許無効の抗弁を容れ、控訴を棄却した。

 GC社との間で争いとなったのは、本件特許のうち請求項5に係る発明であり(以下、「本件発明」という。)、特モビリティは、本件発明について訂正の再抗弁を主張した。訂正後の請求項5に係る発明(以下、「本件訂正発明」という。)は以下の通り、「受信装置」の発明であり、携帯電話を相手(他のコンビネーション)とするサブコンビネーション発明であった。

訂正後の請求項5(下線が訂正部分)
 請求項4記載の携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを有する受信装置であって当該受信装置に設けられた読み取りスイッチの押下によって、前記選択した1つの新たな機能に対応する個別情報の発信要求を当該受信装置に近づけられた前記携帯電話に発信する発信手段と、前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し、前記判断手段で前記受信した個別情報が前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行うことを特徴とする受信装置。

 なお、請求項4に係る「携帯電話」の発明(訂正後)は以下の通りである。

訂正後の請求項4に係る発明
 RFIDインターフェースを有する携帯電話であって、当該携帯電話のスイッチを押すことで生成されるトリガ信号を、当該携帯電話の所有者が第三者による閲覧や使用を制限し、保護することを希望する被保護情報に対するアクセス要求として受け付ける受付手段と、前記トリガ信号に応答して、RFIDインターフェースを有するRバッジに対して当該Rバッジの製造時に書き込まれた書換不可能な識別情報であってRバッジを一意に識別できる識別情報を要求する要求信号を送信する送信手段と、前記Rバッジより前記識別情報を受け取って、該受け取った識別情報と当該携帯電話に予め記録してある識別情報との比較を行う比較手段と、前記比較手段による比較結果に応じて前記受付手段で受け付けた前記アクセス要求を許可または禁止するアクセス制御手段と、アプリケーションプログラムやデバイスドライバをインターネットを経由してダウンロードして新たな機能を追加および/または更新する手段とを備え、
 前記アクセス制御手段は、当該比較手段で前記アクセス要求を許可するという比較結果が得られた場合は、前記アクセス要求が許可されてから所定時間が経過する前に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを許可し、前記所定時間が経過した後に前記被保護情報へのアクセスがなされた場合には当該アクセスを禁止し、
 前記新たな機能はプリペイドカード、キャッシュカード、デビッドカード、クレジットカード、電子マネー、アミューズメント施設のチケット、公共施設のチケットのうち少なくとも1つであって、それらの中から1つが選択され得ることを特徴とする携帯電話。

 本件知財高裁は、サブコンビネーション発明の要旨認定について、次のように述べた。

裁判所の判断(判決より抜粋。下線は付記)
「サブコンビネーション発明においては、請求項中に記載された他のサブコンビネーションに関する事項が、形状、構造、構成要素、組成、作用、機能、性質、特性、行為又は動作、用途等(以下「構造、機能等」という。)の観点から当該請求項に係る発明の特定にどのような意味を有するかを把握し、発明の技術的範囲を画する必要があるところ、他のサブコンビネーションに関する事項が、当該他のサブコンビネーションに係る装置のみを特定する事項であって、当該請求項に係る装置の構造、機能等を何ら特定していない場合には、他のサブコンビネーションに関する事項は当該請求項に係る発明を特定するために意味を有しないといえる。」

 その上で、本件知財高裁は、本件訂正発明について次のように判断した。

裁判所の判断(判決より抜粋。下線は付記)
「そこで本件訂正発明について検討するに、本件訂正発明は、請求項4記載の携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェイスを有する受信装置に関する発明とされ(構成要件J’)、請求項4記載の携帯電話は、同項の記載のほか、請求項1及び3の記載によって特定されている。しかしながら、請求項1、3及び4の記載は、いずれも携帯電話の構造、機能等を特定するものであって、「受信装置」の構造、機能等を特定するものではない
 そうすると、本件訂正発明における他のサブコンビネーションに関する事項である「請求項4記載の携帯電話」との事項は、「受信装置」の発明である本件訂正発明を特定するための意味を有しないといえる。したがって、本件訂正発明の要旨認定においては、「請求項4記載の(携帯電話)」との事項は除外して認定することが相当である。」

 そして、特モビリティの主張については次のように応えた。

裁判所の判断(判決より抜粋)
「控訴人らは、本件訂正発明に記載の「読み取りスイッチ」が、「選択した1つの新たな機能に対応する個別情報の発信要求」を発信するためのものであるとして、乙33文献に記載された「リクエストスイッチ」(第1識別情報を読み出すために第1のリクエスト信号を送出するためのスイッチ)との違いを主張する。
 しかし、上記のとおり、本件訂正発明における「請求項4記載の携帯電話」との記載事項は、「携帯電話」を特定する事項であって、「受信装置」の発明である本件訂正発明を特定するための意味を有しない。
 …
 他方で、本件訂正明細書には、携帯電話において新たなカード機能を選択することについての記載(【0089】、【0092】)しかみられず、携帯電話で選択された機能に対応する機能を受信装置において選択すること自体については特に記載がない。すなわち、携帯電話と受信装置の選択を連動させることや、そのための技術的手段について特に説明されていないのであって、「選択した1つの新たな機能に対応する」との事項は、本件の携帯電話において「個別情報」の構成を特定するものであるとしても、受信装置において「個別情報」の構成を特定するものとはいえない。結局、受信装置の発明である本件訂正発明において、「選択した1つの新たな機能に対応する個別情報」と単なる「個別情報」とは、構成上の差異を有さない。
 したがって、乙33発明における「リクエストスイッチ」は、受信装置において「個別情報の発信要求」をするものであり、本件訂正発明における「読み取りスイッチ」に相当するものといえるから、控訴人らの上記主張は採用できない。
 さらに、控訴人らは、訂正後の請求項5の「個別情報」が、「複数種類の複数のカード類から選択した1つのカードの種別を示す識別情報」であると主張する。
 しかし、上記同様に、本件訂正発明における「請求項4記載の携帯電話」との記載事項は、「受信装置」の発明である本件訂正発明を特定するための意味を有さず、本件訂正発明において、「個別情報」が「複数種類の複数のカード類から選択した1つのカードの種別を示す識別情報」であることが特定されているとは認められない。また、「個別情報」の定義は本件訂正明細書に明記されておらず、「複数種類の複数のカード類から選択した」情報であるか否かは、読み取られるカード情報自体に影響を与える事項とはいえないから、控訴人らの主張する「個別情報」の定義のうち、情報自体を定義する事項として意味がある事項は、「カードの種別を示す識別情報」という点だけである。しかし、本件訂正発明(受信装置)の動作において、要求したとおりの「個別情報」(カードの種別を」示す識別情報)を受信した後に実行される「処理」の具体的内容も本件訂正明細書においては特定されておらず、受信した情報が「カードの種別を示す識別情報」でなければその後の処理を実行できないと解される特段の事情もうかがえない。そうすると、本件訂正発明における「個別情報」を「カードの種別を示す識別情報」と限定解釈する根拠を、本件訂正明細書から見出すこともできない
 したがって、上記控訴人らの主張は、本件訂正発明及び本件訂正明細書に裏付けられたものではなく、採用し得ない。」

3.雑感

3-1.判決についての感想

全体的な結果について:納得度95%

 本件は、サブコンビネーション発明の要旨認定について述べられた数少ない裁判例の一つである。納得度は95%と高いが、これは単に、私自身がサブコンビネーション発明に関して浅い知識しか持っていないことによるものであるので、そこまで気にしないで頂きたい。

 本件知財高裁は、サブコンビネーション発明の要旨認定について判断したが、その内容は審査基準と実質的に同じことを述べている。(その意味では、裁判所が何か新たな判断基準を示したというわけではない。)

 まずサブコンビネーション発明の定義だが、審査基準では次のように定義されている。

審査基準より抜粋
サブコンビネーションとは、二以上の装置を組み合わせてなる全体装置の発明、二以上の工程を組み合わせてなる製造方法の発明等(以上をコンビネーションという。)に対し、組み合わされる各装置の発明、各工程の発明等をいう。

 一般には、サブコンビネーション発明は、全体としてみれば、二以上の装置/工程で完成するようなコンビネーション発明(システムや製造方法等)において利用される、発明の一つの表現形態といえる。(そもそも発明が単一の装置や工程で完成するならばその装置や方法で権利を取ればよいため、わざわざサブコンビネーション発明という概念を持ち出す必要性に乏しい)
 サブコンビネーション発明では、発明の主体は全体ではなく「各装置」や「各工程」といった個になる。例えば個の装置のサブコンビネーション発明が認められれば、権利行使における充足論(発明の技術的範囲に含まれるかの属否)でも、侵害立証の証明主体は全体ではなく個になる。

 ネットワーク上の専用サーバと、ユーザの携帯端末にインストールされる専用アプリによるネットワークシステムでは、専用サーバ側で行われている処理の立証難易度が高く、携帯端末側の処理は自らの端末にアプリをインストールすれば動作確認ができるため分析しやすい。ネットワークシステムの発明では、専用サーバと携帯端末のどちらの構成についても立証責任があるが、携帯端末のサブコンビネーション発明が成立するならば立証の負荷は軽減する。
 また本件のように、一般消費者の端末と、店舗側の端末による通信システムでは、全体の発明の実施者が「一般消費者と店舗側企業」となり、共同不法行為の成立は難しく、そもそも一般消費者を訴訟当事者とすることは実質的に不可能である。こうした場合、全体としてみれば保護する価値がある発明=産業の発達に貢献する発明だとしても、発明全体の権利では十分な保護が図れず、一方で店舗側の端末のサブコンビネーション発明が成立するならば、実効的な救済を図る途が残せる。

 原則、発明は、完成されたもの全体を保護すればよく、よって全体を発明内容として権利を求めればよい。しかし、発明の実行主体が一人に限らない現代にあっては、原則だけでは十分な保護が図れないことも珍しくないそれゆえに、サブコンビネーション発明という発明を認めることの実益がある

 私は、サブコンビネーション発明の存在意義をこのように理解し、サブコンビネーション発明という道具は「便利なもの」だと思っていたが、本件のような事例を見ると、このような浅はかな思い込み(勘違い)は捨てなければならないと痛感する。

 サブコンビネーション発明がどういった場合に効果的に働き、どういった発明を救済してくれるのか

 これをきちんと追求しなければ、何の価値もないサブコンビネーション発明に無駄にお金を使うことになるばかりか、本件のように、特許権者にぬか喜びだけさせて崖下に突き落とされるような結末を招来しかねない。

サブコンビネーション発明の認定

 本件知財高裁は、「ブコンビネーション発明においては、請求項中に記載された他のサブコンビネーションに関する事項が、形状、構造、構成要素、組成、作用、機能、性質、特性、行為又は動作、用途等(以下「構造、機能等」という。)の観点から当該請求項に係る発明の特定にどのような意味を有するかを把握し、発明の技術的範囲を画する必要があるところ、他のサブコンビネーションに関する事項が、当該他のサブコンビネーションに係る装置のみを特定する事項であって、当該請求項に係る装置の構造、機能等を何ら特定していない場合には、他のサブコンビネーションに関する事項は当該請求項に係る発明を特定するために意味を有しない」と述べた

 一方審査基準では、サブコンビネーション発明の認定について以下のような説明がされている。

審査基準より抜粋
審査官は、請求項に係る発明の認定の際に、請求項中に記載された「他のサブコンビネーション」に関する事項についても必ず検討対象とし、記載がないものとして扱ってはならない。その上で、その事項が形状、構造、構成要素、組成、作用、機能、性質、特性、方法(行為又は動作)、用途等(以下この項(4.)において「構造、機能等」という。)の観点からサブコンビネーションの発明の特定にどのような意味を有するのかを把握して、請求項に係るサブコンビネーションの発明を認定する。その把握の際には、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮する。
4.1.1 「他のサブコンビネーション」に関する事項が請求項に係るサブコンビネーションの発明の構造、機能等を特定していると把握される場合
この場合は、審査官は、請求項に係るサブコンビネーションの発明を、そのような構造、機能等を有するものと認定する。
4.1.2 「他のサブコンビネーション」に関する事項が、「他のサブコンビネーション」のみを特定する事項であって、請求項に係るサブコンビネーションの発明の構造、機能等を何ら特定していない場合
この場合は、審査官は、「他のサブコンビネーション」に関する事項は、請求項に係るサブコンビネーションの発明を特定するための意味を有しないものとして発明を認定する。

 知財高裁と審査基準の内容にはおよそ相違はないといえるだろう。また、本件知財高裁が述べたように、サブコンビネーション発明では、他のサブコンビネーションに関する事項が、当該他のサブコンビネーションに係る装置のみを特定する事項であるか否かが、その発明の評価において重要となる。

 しかし、この一見すると明確そうな基準だが、その判断は非常に難しいように思える。

 例えば、審査基準には、サブコンビネーションの発明の構造、機能等を特定していると把握される場合の例1として、以下の事例が挙げられている。

例1:(審査基準より抜粋
 検索ワードを検索サーバに送信し、検索サーバから直接受信した返信情報を復号手段で復号して検索結果を表示手段に表示するクライアント装置であって、前記検索サーバは前記返信情報を暗号化方式Aにより符号化した上で送信することを特徴とするクライアント装置
(説明)
 出願時の技術常識を考慮すると、暗号化方式Aに対応した復号手段を用いなければ、クライアント装置において、検索結果を表示することはできない。したがって、検索サーバが返信情報を暗号化方式Aで暗号化した上で送信することは、クライアント装置の復号手段が暗号化方式Aに対応した復号処理を行うという点で、クライアント装置を特定している。よって、サブコンビネーションの発明であるクライアント装置について、そのような特定がなされているものとして請求項に係る発明を認定する。

 この例1では、クライアント装置の発明において「前記検索サーバは前記返信情報を暗号化方式Aにより符号化した上で送信すること」との発明特定事項が、クライアント装置の処理(暗号化方式Aに対応した復号処理)を特定していると評価し、発明が認定されている。
 例1においては、クライアント装置側が復号処理を行うこと自体は記載されているものの、暗号化方式Aで暗号化された情報を復号することは直接記載されていない。しかし、クライアント装置は表示手段を有しているため、暗号化方式Aで暗号化された情報を復号できなければ検索結果を表示することができないこととなるから、結果的にクライアント装置は検索結果を表示するために暗号化方式Aで暗号化された情報を復号する処理を行うことになるという論理を用いている。

 それでは、以下の本件訂正発明はどうか。

本件訂正発明
 請求項4記載の携帯電話との間で送受信するためのRFIDインターフェースを有する受信装置であって、当該受信装置に設けられた読み取りスイッチの押下によって、前記選択した1つの新たな機能に対応する個別情報の発信要求を当該受信装置に近づけられた前記携帯電話に発信する発信手段と、前記携帯電話から受信した個別情報が要求した個別情報であるか否かを判断する判断手段とを有し、前記判断手段で前記受信した個別情報が前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行うことを特徴とする受信装置。

 意図的に、上記の例1と同じ論理で記載してみよう。
 本件訂正発明では、受信装置は、個別情報が前記要求した個別情報であるか否かを判断する処理を行うこと自体は記載されているものの、前記選択した1つの新たな機能に対応する個別情報であるか否かを判断することは直接記載されていない。しかし、受信装置は、個別情報が前記要求した個別情報であると判断されたときに、前記携帯電話との間で処理を行う手段を有しているため、前記選択した1つの新たな機能に対応する個別情報であるか否かを判断できなければその後の携帯電話との処理を行うことができないこととなるから、結果的に受信装置は、選択された機能に対応する個別情報であるか否かを判断行うことになる

 このように、審査基準の例1と同じ論理が成立するという点からは、審査官や審判官であれば、本件訂正発明は「サブコンビネーションの発明の構造、機能等を特定している場合」であると判断する方が適法な判断といえる。(審査基準からは受信装置の構造、機能等を特定している場合と判断する方が適当にみえる)

 しかし、知財高裁は、「「選択した1つの新たな機能に対応する」との事項は、本件の携帯電話において「個別情報」の構成を特定するものであるとしても、受信装置において「個別情報」の構成を特定するものとはいえない。」と判断しており、受信装置の構造、機能等を特定している場合ではないと判断している。

 特許の審査基準には法規範性がない以上、我々実務家は裁判所の判断を優先させて実務に落とし込まなければならない。
 確かに、審査基準の例1と本件訂正発明は実際には内容が異なっており、性質の異なる部分があるが、本判決を知らない状態で、本件訂正発明が、「他のサブコンビネーションに関する事項が、当該他のサブコンビネーションに係る装置のみを特定する事項であるか否か」と問われたときに、どれだけの実務家がNOと回答できるだろうか上記の例1を根拠にしてYESと回答する者の方が多いのではないだろうか(私ならYESと回答する)。

 その意味では、審査基準の例1は、題材を変えるか、YESではなくNOの例に移すか(明白にNOの事例といえるかもまた微妙なところ)、少なくともYESの根拠を説明している内容は修正すべきかもしれない。(ミスリードを誘ってしまうとすれば、審査基準になっていない。)

 本件は、サブコンビネーション発明のその本質的な性格を改めて考えさせられる事例といえるだろう。まだまだ事例の蓄積が少ないサブコンビネーション発明は、審査基準を信用して安易にその適否を判断することも慎重にならなければならないかもしれない。

 以降の詳細な考察では、サブコンビネーション発明の本質を考え、どのような性格を持つ発明なのかについて深堀していく。
 また、本件において、「サブコンビネーションの発明の構造、機能等を特定している場合」と判断されるようなサブコンビネーション発明を成立させる余地はなかったのかについても踏み込む。
 私見ではあるが、本件は、請求項の記載の工夫次第(訂正の内容次第)で、有効な特許を維持できるサブコンビネーション発明となり得たかもしれないため、本件が有効なサブコンビネーション発明として機能しなかった要因も踏まえ、このような訂正発明にすべきだったのではないかという請求項案を記載する。会員の皆様には、請求項案をみながら、各自でどのような対応ができたかを考え、今後の実務に活かしていってもらいたい。

4.本件のより詳細な考察

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