特許事務所のOA応答統計について
「特許事務所のOA応答統計」というデータは、特許事務所に依頼をしようとする顧客の皆様が、どのような判断材料で特許事務所を選択しようかを検討するときの判断材料の一つとして活用いただくことを目的にしております。
特定の特許事務所に肩入れすることや、特定の特許事務所を攻撃するような意図はありません。ここで紹介するデータのみに頼らず、あくまで一つの判断材料として頂き、特許事務所の選定は各自の責任で行っていただきますようお願いいたします。
なお、統計の方法の詳細につきましては、こちら「特許事務所のOA応答統計(第一弾)」からご確認いただけます。
クラス別 特許事務所のOA応答統計 第七弾
統計は、特許庁への提出書類として「意見書のみ」を提出したか「意見書及び補正書」を提出したか、を集計します。なお、統計の対象は、クラスA~クラスEの特許事務所にします。クラスSを外す理由は、クラスSの事務所の統計はおよそ平均値に近い値なるはずで、調べてもあまり意味がないからです。
クラスが上の事務所になるほど母数(事務所数)が少なくなるためバランスを考慮し、第七弾は、Aクラス1事務所、Bクラス2事務所、Cクラス3事務所、Dクラス4事務所、Eクラス5事務所の計15事務所を選出します。各クラスから選出した特許事務所は以下の通りです。
クラスA:”特許事務所A071”
クラスB:”特許事務所B071”
クラスB:”特許事務所B072”
クラスC:”特許事務所C071”
クラスC:”特許事務所C072”
クラスC:”特許事務所C073”
クラスD:弁理士法人 楓国際特許事務
クラスD:”特許事務所D072”
クラスD:”特許事務所D073”
クラスD:”特許事務所D074”
クラスE:”特許事務所E071”
クラスE:”特許事務所E072”
クラスE:”特許事務所E073”
クラスE:弁理士法人キュリーズ
クラスE:”特許事務所E075”
なお、平均以上の「意見書/審判請求書のみ」応答率だった特許事務所の中から上位何位までを最後にランキングにして載せます。ランキングに載らなかった事務所については”特許事務所~”という形で別称しております。上位何~までを載せますが、ランキングに載らなかった事務所が平均以下の応答率というわけではありませんので、その点ご注意ください。
また、統計項目として、まず母集合を「応答あり出願件数」と「応答なし出願件数」に分けます。ここでの「応答あり出願件数」とは、「意見書及び補正書」か「意見書のみ」かの選択肢が存在する中で応答された件数です。よって、「応答なし出願件数」には、初回の審査あるいはその応答がまだされていない案件、初回の拒絶理由通知に対して応答せず拒絶査定がきた状態の案件、拒絶理由通知なしで登録査定になった案件、39条の協議命令のみが通知された案件、が該当します。
次に、応答あり出願の中で、合計の応答回数を集計します。一つの出願に対し、既にOA応答を2回以上している場合は各応答をカウントしますので、合計の応答回数は、応答あり出願件数以上の数となります。なお、審判段階まで含めてカウントしていますが、審判段階の応答回数は括弧書きで記しています。
そして、「補正あり応答」か「意見書のみあるいは審判請求書のみの応答」かを集計し、合計応答回数を母集合として、応答率を算出します。つまり、応答なし出願件数は除き、純粋に「補正あり応答」か「意見書のみあるいは審判請求書のみの応答」かだけで応答率を算出します。
また、「意見書のみあるいは審判請求書のみの応答」の成功率も出していますが、「成功」といえるのは、特許査定になった場合だけでなく、その次の応答が審判請求でない場合も含めています。次の応答が審判請求の場合、応答結果は拒絶査定なので失敗でカウントしますが、次の応答が意見書や補正書だった場合は拒絶理由通知が来ているため、少なくとも意見書で対応した拒絶理由は解消しているはずで、成功でカウントしています。
クラスA:特許事務所A071(母集合:196件(着手時期5月))
2025年6月29日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
142件(175回(審判7回)) | 54件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
165回 | 10回 | 5.71% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
70% | 7回 | 3回 | 0回 |
クラスB:特許事務所B071(母集合:123件(着手時期5月+6月))
2025年6月29日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
94件(115回(審判6回)) | 29件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
112回 | 3回 | 2.61% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
50% | 1回 | 1回 | 1回 |
クラスB:特許事務所B072(母集合:188件(着手時期5月+6月))
2025年6月29日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
163件(207回(審判9回)) | 25件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
202回 | 5回 | 2.42% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
100% | 3回 | 0回 | 2回 |
クラスC:特許事務所C071(母集合:100件(着手時期5月~7月))
2025年6月29日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
91件(136回(審判6回)) | 9件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
135回 | 1回 | 0.74% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
100% | 1回 | 0回 | 0回 |
クラスC:特許事務所C072(母集合:124件(着手時期5月~7月))
2025年6月29日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
99件(121回(審判5回)) | 25件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
120回 | 1回 | 0.83% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
100% | 1回 | 0回 | 0回 |
クラスC:特許事務所C073(母集合:138件(着手時期5月~7月))
2025年6月29日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
103件(132回(審判8回)) | 35件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
126回 | 6回 | 4.55% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
50% | 2回 | 2回 | 2回 |
クラスD:弁理士法人 楓国際特許事務所(母集合:100件(着手時期4月~7月))
2025年6月27日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
64件(85回(審判2回)) | 34件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
79回 | 6回 | 7.06% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
100% | 6回 | 0回 | 0回 |
クラスD:特許事務所D072(母集合:150件(着手時期4月~7月))
2025年6月28日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
17件(18回(審判0回)) | 133件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
18回 | 0回 | 0.00% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
- | - | - | - |
クラスD:特許事務所D073(母集合:128件(着手時期4月~7月))
2025年6月29日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
105件(134回(審判11回)) | 23件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
126回 | 8回 | 5.97% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
66.7% | 4回 | 2回 | 2回 |
クラスD:特許事務所D074(母集合:187件(着手時期4月~7月))
2025年6月29日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
149件(211回(審判21回)) | 38件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
203回 | 8回 | 3.79% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
83.3% | 5回 | 1回 | 2回 |
クラスE:特許事務所E071(母集合:101件(2024年リスト全件))
2025年6月26日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
61件(72回(審判1回)) | 40件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
72件 | 0件 | 0.00% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
- | - | - | - |
クラスE:特許事務所E072(母集合:118件(2024年リスト全件))
2025年6月26日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
60件(76回(審判5回)) | 58件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
73回 | 3回 | 3.95% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
66.7% | 2回 | 1回 | 0回 |
クラスE:特許事務所E073(母集合:126件(2024年リスト全件))
2025年6月26日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
99件(121回(審判4回)) | 27件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
117回 | 4回 | 3.31% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
50% | 2回 | 2回 | 0回 |
クラスE:弁理士法人キュリーズ(母集合:115件(2024年リスト全件))
2025年6月30日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
86件(122回(審判9回)) | 29件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
113回 | 9回 | 7.38% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
42.9% | 3回 | 4回 | 2回 |
クラスE:特許事務所E075(母集合:160件(2024年リスト全件))
2025年6月27日時点のJ-PlatPatを確認
応答あり出願件数(合計応答回数) | 応答なし出願件数 |
130件(172回(審判3回)) | 30件 |
補正書あり応答 | 意見書/審判請求書のみ応答 | 意見書/審判請求書のみ応答率 |
171回 | 1回 | 0.58% |
意見書/審判請求書のみ応答成功率 | 成功回数 | 失敗回数 | 未定?回数 |
100% | 1回 | 0回 | 0回 |
第七弾の結果についての感想
第七弾は、意見書のみ応答率が高かったのは15事務所中2事務所「弁理士法人楓国際特許事務所」と「弁理士法人キュリーズ」であった。それぞれ大阪の事務所と東京の事務所のようですね。
「弁理士法人楓国際特許事務所」は、HP上ではあまり語らずといった感じのため、特徴が掴めなかったが、「弁理士法人キュリーズ」は、結構特徴をアピールしている事務所のようである。
当事務所は、「標準必須特許(SEP)や情報通信技術(ICT)特許に関して困っているクライアントをゼロにするというミッション」を掲げており、情報系に特化しているように見える。また、「クライアントを“満足”させるのではなく、“感動”させる」という熱いメッセージがあり、「その想い、特許にします」というキャッチフレーズがあったりと、伝えきれない想いを何とかして伝えようとする姿勢が見て取れる。
「Mission, Vision, Value, Philosophy(企業理念)」などを示すところは、特許事務所が事務屋さんではなく「企業の一つである」という意識を持って顧客と接するべきという考えもあるのだろう。
特許に限らず、専権業務である士業は、いわゆる一般の企業とは違うという意識がある。企業が製品やサービスを売るような感覚で事務所経営をしているところは極めて少ないのではないだろうか。しかし、このような意識はもはや古く、この先を生き残るには、特許事務所も顧客に何を与えられるのかを怖れず隠さずオープンにしていくべきだと個人的に思うところである。
特許事務所のOA応答統計 ”第八弾” をみる
第八弾が気になる方は「特許事務所のOA応答統計 第八弾」をご覧ください。(※まだ記事が公開されていない場合があります。)
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特許事務所別 OA応答統計ランキング
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