題材について
題材の選定条件:審査請求がされ、拒絶理由通知が出されたが、これに応答することなく拒絶査定が出された案件
例1:審査経過が「審査請求 ⇒ 拒絶理由通知 ⇒ 拒絶査定」
例2:審査経過が「審査請求 ⇒ 拒絶理由通知 ⇒ 意見書/補正書 ⇒ 拒絶理由通知 ⇒ 拒絶査定」
題材:特願2021-117554
出願人:信越半導体株式会社
代理人:好宮 幹夫、小林 俊弘、大塚 徹(好宮特許事務所)
発明の名称:紫外線発光素子用エピタキシャルウェーハ及びその製造方法
審査記録(最終処分:拒絶)
2023年 6月27日 審査請求
2024年 6月 4日 拒絶理由通知
7月16日 意見書及び手続補正書の提出
10月 1日 拒絶理由通知(最後)
2025年 2月25日 拒絶査定
検討対象:最後の拒絶理由通知
拒絶理由:29条2項(進歩性)
簡単な概要
第29回の題材は、化学分野から選択した。また、今回の題材は「特許事務所のOA応答統計第11回」の事務所から選んでいる)
分析記事「意見書のみ応答率の高さの要因」でも紹介しているように、信越化学グループは意見書のみ応答率が高く、好宮特許事務所はほとんどの受任案件が信越化学グループの出願となっており(※2024年審査着手見通しリストからの分析結果に基づく)、事務所が企業と一体となって出願~権利化までサポートしている体制が窺える。
他と比べると権利化に妥協しない姿勢が見て取れる信越化学グループ及び好宮特許事務所の出願のうち、途中で権利化を断念した案件を今回の題材とした。手の打ちようがないのか、検討してみたいと思う。
出願当初の請求項1は以下の通りである。
【請求項1】
紫外光に透明で耐熱性のある第一支持基板と、
該第一支持基板上に、貼り合わせにより接合されたAlxGa1-xN(0.5<x≦ 1)単結晶の種結晶層と、
該種結晶層上に、AlyGa1-yN(0.5<y≦1)を主成分とする第一導電型ク ラッド層と、AlGaN系活性層と、AlzGa1-zN(0.5<z≦1)を主成分と する第二導電型クラッド層とが順に積層成長されたエピタキシャル層を有することを特徴 とする紫外線発光素子用エピタキシャルウェーハ。
今熱い”半導体”分野の出願であるが、紫外線発光素子用ということなので、そこまで熱いところでもない?かもしれない。この請求項1に対しては、最初の拒絶理由通知で29条進歩性と36条明確性の拒絶理由が通知された。(36条明確性は「張り合わせにより接合された」に対するPBPの拒絶理由)
出願人は、拒絶理由を解消するために請求項1を以下のように補正した。
【請求項1】
紫外光に透明で耐熱性のある第一支持基板と、
該第一支持基板上のAlxGa1-xN(0.5<x≦1)単結晶の種結晶層と、
前記第一支持基板と前記種結晶層とを接合しているアモルファスAlGaN層またはア モルファスAlN層と、
前記種結晶層上に、AlyGa1-yN(0.5<y≦1)を主成分とする第一導電型 クラッド層と、AlGaN系活性層と、AlzGa1-zN(0.5<z≦1)を主成分 とする第二導電型クラッド層とが順に積層成長されたエピタキシャル層を有することを特 徴とする紫外線発光素子用エピタキシャルウェーハ。
これに対し、審査官は、主引用文献(引用文献1:特開2019-220535号公報)はそのままで、副引用文献として新たな引用文献(引用文献2:特開2013-191861号公報)を挙げて、29条進歩性の最後の拒絶理由通知を発した。その後、出願人は応答することなく、拒絶の最終処分が確定した。
検討の公開まで
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また、以下の「応答方針の検討」をご覧になる前に、「拒絶理由対応の本質」を読まれることをお薦めします。こちらを読んで頂いた上で以下の記事を読まれる方が、理解が深まると思います。
以下の「応答方針の検討」には、応答方針に至るまでの思考過程と、応答案の概要を載せています。
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