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一部有料記事拒絶理由対応のすすめ

拒絶理由対応のすすめ 第27回 ”権利化断念出願シリーズ(9)

題材について

題材の選定条件:審査請求がされ、拒絶理由通知が出されたが、これに応答することなく拒絶査定が出された案件

例1:審査経過が「審査請求 ⇒ 拒絶理由通知 ⇒ 拒絶査定」
例2:審査経過が「審査請求 ⇒ 拒絶理由通知 ⇒ 意見書/補正書 ⇒ 拒絶理由通知 ⇒ 拒絶査定」

題材:特願2023-147457
出願人:パイオニア株式会社
代理人:弁理士法人レクスト国際特許事務所
発明の名称:情報表示制御装置、情報表示制御方法及び情報表示制御プログラム

審査記録(最終処分:拒絶)
 2023年 9月12日 審査請求
 2024年 8月13日 拒絶理由通知(1回目:50条の2の通知)
      10月 9日 意見書及び手続補正書の提出
      11月12日 拒絶理由通知(2回目)
 2025年 4月 8日 拒絶査定

検討対象:2回目の拒絶理由通知
拒絶理由:29条2項(進歩性) ※請求項4の36条6項1号(サポート要件)はおまけでやるかも

簡単な概要

 第27回の題材も、化学or機械のどちらかの分野から選出したかったが、興味のそそる題材がなかったため、ソフト系ではあるが、面白そうな題材をピックアップした。そろそろお気づきの方もいるかもしれないが、権利化断念シリーズの案件選定は、「特許事務所のOA応答統計」の各回の中から1件ずつ選んでいる。(第1回から順に選んでいけばよかったが、第1回の題材を「特許事務所のOA応答統計第3回」から選んでしまったため、数字はバラバラである。ちなみに、今回は「特許事務所のOA応答統計第5回」から選んでいる)

 本件が面白そうだと思ったのは「分割出願」と「50条の2の通知」という二つの要素からである。J-Plat Patから持ってきたが、下図の通り、本件は第2世代の出願である。

 

 そして、3件の特許出願のそれぞれの出願時(審査当初)の請求項1は以下の通りである。

特願2018-020246の【請求項1】
 移動体の周囲の風景画像を取得する画像取得部と、
 前記移動体の進行方向に障害物が存在しない場合には前記風景画像を表示部に表示させ、前記移動体の進行方向に障害物が存在する場合には前記移動体の周囲の風景を前記障害物の一部を透過しつつ示す透過画像を前記表示部に表示させる表示制御部と、
 を有し、
 前記表示制御部は、前記移動体の周囲の所定の地点に関しかつ前記移動体の運転を支援 する運転支援画像を前記風景画像又は前記透過画像に重畳して表示させる、
 ことを特徴とする情報表示制御装置。
特願2022-149022の【請求項1】
 移動体に搭載された撮影部により撮影された前記移動体の周囲の風景画像である第1画像を取得する画像取得部と、
 前記移動体の進行方向に存在する障害物を検出する検出部と、
 前記検出部により検出された障害物を前記第1画像中において透過させる障害物透過処理を実行し、前記障害物透過処理済みの風景画像である第2画像に前記移動体の運転を支援する運転支援画像を重畳して、前記移動体に搭載された表示部に表示させる表示制御部と、
 を備えることを特徴とする情報表示制御装置。
特願2023-147457の【請求項1】(今回の題材)
 移動体に搭載された撮影部により撮影された前記移動体の周囲の風景画像である第1画像を取得する画像取得部と、
 前記第1画像に含まれる障害物を、前記第1画像中において透過させる障害物透過処理を実行することで、前記障害物の一部が透過され且つ前記障害物の輪郭が含まれる風景画像である第2画像を生成し、前記第2画像に前記移動体の運転を支援する運転支援画像を重畳して、前記移動体に搭載された表示部に表示させる表示制御部と、
 を備えることを特徴とする情報表示制御装置。

 ほとんど同じだが微妙に違う!といった印象を受けるだろう。本件の1回目の拒絶理由通知では、「<特許法第50条の2の通知> この拒絶理由通知に係る拒絶の理由は、下記の点で、本願と同時に出願された こととなっている特願2022-149022号の令和5年3月7日付けでされ た拒絶理由通知に係る拒絶の理由と同一である。」と述べられている。

 また、それぞれの出願の審査経過について、オリジナルの出願は1回目の拒絶理由通知に応答せずにそのまま拒絶査定で処分が確定しており、第1世代の出願は1回目の拒絶理由通知に対応して請求項を補正したが拒絶査定となって処分が確定しており、第2世代(今回)は1回目の拒絶理由通知に対応して請求項を補正して2回目の拒絶理由通知がきたが、2回目の拒絶理由通知には応答せずに拒絶査定で処分が確定している。

 3度目の正直も実らず、第3世代の分割出願もしていないため、ここまで粘って最終的に権利化を断念したといえる。

 本件出願の補正後の請求項1は以下の通りである。また、新たに請求項2を追加している。

特願2023-147457の補正後の【請求項1】
 移動体に搭載された撮影部により撮影された前記移動体の周囲の風景画像である第1画像を取得する画像取得部と、
 前記第1画像に含まれる障害物を、前記第1画像中において透過させる障害物透過処理を実行することで、前記障害物の輪郭を含み、且つ当該輪郭の内部が全透明化された風景画像である第2画像を生成し、前記第2画像に前記移動体の運転を支援する運転支援画像を重畳して、前記移動体に搭載された表示部に表示させる表示制御部と、
 を備えることを特徴とする情報表示制御装置。
追加された【請求項2】
 前記表示制御部は、前記第2画像中の前記輪郭の内部に、前記運転支援画像の一部を重 畳して表示させることを特徴とする請求項1に記載の情報表示制御装置。

 これに対し、2回目の拒絶理由通知では、新たに副引用文献が1つ追加されて進歩性違反が維持されており、また、請求項4についてのサポート要件違反が通知された。なお、このサポート要件違反は、当初請求項に対して通知すべきだったものではなく、補正後の請求項1を引用することで生じたサポート要件違反の拒絶理由である。

※ちなみに、第1世代で補正したものの拒絶査定となった請求項1は以下の通りであり、補正で追加された部分は、本件出願の当初請求項1に含まれている。

特願2022-149022の補正後の【請求項1】
 移動体に搭載された撮影部により撮影された前記移動体の周囲の風景画像である第1画像を取得する画像取得部と、
 前記移動体の進行方向に存在する障害物を検出する検出部と、
 前記検出部により検出された障害物を前記第1画像中において透過させる障害物透過処理を実行することで、前記障害物の一部が透過され且つ前記障害物の輪郭が含まれる風景画像である第2画像を生成し、前記第2画像に前記移動体の運転を支援する運転支援画像を重畳して、前記移動体に搭載された表示部に表示させる表示制御部と、
 を備えることを特徴とする情報表示制御装置。 

検討の公開まで

 「拒絶理由対応のすすめ」は、実際に検討された上で、記事の詳細を読む方が、スキルアップに効果的かもしれません。まずはご自身で検討してみてから記事を読みたいという方がいることも想定し、具体的な検討の詳細は、記事のアップから期間をあけて、5月5日に公開する予定です。
 また、以下の「応答方針の検討」をご覧になる前に、「拒絶理由対応の本質」を読まれることをお薦めします。こちらを読んで頂いた上で以下の記事を読まれる方が、理解が深まると思います。
 以下の「応答方針の検討」には、応答方針に至るまでの思考過程と、応答案の概要を載せています。

応答方針の検討(結論:??) 公開予定5/XX~6/XX

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